総合治療とは、お口全体の美しさ、健康、バランス、機能性を考慮した治療のことです。
例えば、下記の口腔状態の患者様から「前歯2本を審美歯科治療で白く、美しくしたい」というご要望があったとします。当院では、患者様のご要望通り2本の歯にセラミックのかぶせ物をして治療終了とはいたしません。
なぜならば、審美歯科治療をする前に、虫歯・歯周病・神経の壊死の症状が見られた場合、まずそちらの治療を行う必要があります。この治療をしっかりしなければ、審美歯科治療をした部分が早期にダメになってしまう可能性があるためです。
また、お口の状態によっては審美歯科治療ではなく、部分矯正治療が適していることもあります。
そして、患者様が望まれるのであれば、治療を希望されていた部位だけでなく、お口全体のバランス・機能性を考慮した治療計画をご提案させていただくことも可能です。
この治療を専門用語では「全顎的治療」というのですが、多くのドクターはあまりこのような提案・治療は実施していません。
なぜなら、お口全体的な治療は、部分的な治療とは一線を画し、咬みあわせバランス、部分矯正治療、そして場合によってはインプラントや入れ歯といった複合的な治療が絡み合うため、非常に難易度が高いためです。
当院では矯正認定医・歯科技工士との「チーム医療」の実施、最新機器の導入、そして日々の研鑽により、このような総合治療が可能になっております。
患者様のご要望だけを忠実に実行するのはプロの仕事ではありません。しっかりとご要望を理解した上で、最適な治療法をプロの目線でご提案することが本当の歯科医療だと当院では考えます。
今まで、審美治療で装着する歯の色合いを決めていたのは「人間の目」でした。
しかし、それでは担当する者の色の感覚や、照明環境により、認識する色合いは必ずしも一致しない事があります。
審美歯科治療の最低条件は、その人その人にあった色合いの歯を選択し製作することですが、この環境下では必ずしも患者様が望む仕上がりは期待できません。
そこで当院では「クリスタルアイ」という色を測定する光学機器を導入致しました。これにより「感覚」ではなく、しっかりとした「データ」に基づいて患者様にあった歯の色を選定し、詰め物・かぶせ物を作り上げることが可能になります。
またこの機器とパソコンソフトを連動させることで、様々なデータの収集や、事前に完成形の色をシュミレーションすることができるようになります。
どの治療もそうですが、その中でも審美歯科治療では「患者様のご希望」をしっかり把握しなければならない治療となります。歯の「色」「形」「歯並び」などですね。
ほんのちょっとの違いが、お口の「美」のバランスに関係してきますので、治療中・治療後も当然ですが、何よりも治療前に十分なカウンセリングを行い、「ゴール」の共有が大切になります。
当院では先ほどご説明しました「クリスタルアイ」や「口腔内写真」「メドバイザー(治療説明ツール)」「ISIシステム」などのツールを利用し、希望される歯の色・形や、ご予算、治療期間などをお伺いし、患者様に合ったプランをいくつかご提案させていただいております。あなたのご希望を何なりとお話しくださいませ。
ここからは少し専門的なお話になってしまいますが、非常に重要な部分です。
分かりやすく記載しますので、是非ご一読ください。
まずは、当院が考える「美の基準」についてお話しします。
次節からは、しっかり物を咬むという「機能性」を追求するための治療工程をお伝えします。
単に白く綺麗な人工歯を作るだけが審美歯科治療ではありません。
当院では、次の10の基準に基づき、審美歯科治療を行っています。
歯の形態
歯の形態1つで口元のイメージが変化します。カウンセリングで得られた情報をもとに、形体を決定します。
顔貌との調和
体の中心ラインを「正中線」というのですが、この線に上下の歯の中心が合わさることで顔貌と口元のバランスが取れることになります。
唇との調和
笑ったときの上の歯の縁を線で結んだライン。緩やかな弧を描くほど女性的な魅力が高まり、水平になるほど男性的な印象になります。
歯の特徴付け
歯は皆さんが想像されている以上に複雑な形をしています。この形に近づけることにより天然歯と見分けがつかない歯が出来上がります。
性別
男性・女性で理想とされている歯の形というものがあり、その中でもさらに細分化されます。あとでご紹介します。
肌の色
肌の色とバランスをとりながら、美しく見える色の濃淡・深み・明度・彩度を微調整していきます。
年齢
個々人の好みによって変化しますが、一般的には年相応の歯の形・色が存在し、それに近づけることで自然な口元を演出します。
バリエーション
審美歯科治療で用いる素材は様々なものがあります。お口の状態・患者様の理想により素材の使い分けを行います。
歯の配列・位置
形・色だけでなく、お口全体のバランスを考えた人工歯の配列・位置も大切となります。
相対的歯冠長
黄金比率(1.6、1.0、0.6)に基づき、配列を計算しながら治療を行うことで、バランスのとれた整合性のある形を追求します。
色々とありますが、要はこれらすべてを考慮することで、はじめて貴方に調和した、そしてオリジナルの歯が出来上がるのです。
また、これら以外に当院が特に力を入れている「美」の考え方として、「光反射のイルージョン」というものがあります。
簡単に説明しますと、歯の形態(角度・厚み・長さ)を変えることで光の屈折度合いが変化し、目に見える歯の形態を自在に操る治療テクニックです。
例えば、歯を作る際、お口の状態によって、「もう少し角度をつけたい」「もっと薄くしたい」「もっと短くしたい」「もっと幅を狭くしたい」のにそれができない場合などがあります。
通常は「仕方がない」と諦めるのですが、この光反射のイルージョンテクニックを活用することで、他人に見える歯の形を、理想とする形へと変化させることが可能になります。
このテクニックはどの歯科医院でも行っているわけではありません。
他院で治療したが気に入らない場合などがありましたら、ぜひ相談にお越しください。
ここまでは「美」に関しての考え方をお話ししてきましたが、当院の審美歯科治療は、美しさだけを追求するのではなく、歯本来の「機能性」、つまり「しっかり噛める」ことまでを考慮した治療を行います。
審美歯科治療をしたことで、あごの疲れ・肩こり・腰痛・頭痛などが発症することが稀にあります。そのため、たとえ1本の歯を治療する場合であっても、お口全体のバランス・機能性を考慮した治療を行わなければなりません。
当院で行っているこだわりの治療工程をご紹介します。
まずは下記の検査を行いお口の情報を収集します。
パノラマレントゲン診査、口腔内診査、歯周病検査、スナップ印象採得、咬合採得、チェックバイト記録採得、感圧シートを用いた動的咬合接触の記録、口腔内写真。
工程1により問題を抽出し、診断と治療計画を立案します。
虫歯や歯周病が見受けられる場合はそちらの治療を先に行うこともあります。
採得した研究用模型(スタディキャスト)を半調節性咬合器に設置。
咬頭嵌合位および側方滑走時の咬合接触状態を評価。
診断用ワックスアップを行い、術前の治療計画を設定。
診断結果をもとに治療方針を決定し患者様にご説明します。
その際、審美歯科治療で使うセラミックには複数の種類がありますので、それぞれのメリット・デメリットを含め納得されるまでご説明いたします。
診断に基づき必要な場合は、虫歯治療と歯周病治療を先に行います(初期治療)。
初期治療は非常に重要な工程です。一番重要と言っても過言ではありません。
患者様としてはすぐにでも綺麗な歯が欲しいので、「初期治療は必要ない」とおっしゃる方もいますが、当院ではそのようなスタンスをとっておりません。詳しくは対談を参照頂きたいのですが、ここを疎かにしてしまうと審美性が損なわれるばかりか、最終的には治療した部分がダメになってしまう事もありますので。
初期治療が終了しましたら、プロビジョナルストレーションと呼ばれるステップに移ります。簡単に説明しますと、初期検査で取得した情報をもとに「仮歯」作成します。
それを患者様のお口の中に装着し、お口に合った歯の最終形態を模索していきます。
この仮歯は、歯が無い期間をなくすためだけに装着するものではありません。
次のような目的を達成するために行う重要なステップとなります。
これら全てを、仮歯の段階で事前に徹底検証することで、「本当に美しく仕上がるのか」「咬み合わせは適切か」「しっかり咬むことができるのか」「長期間機能するものであるのか」などを把握でき、不具合がある場合は随時何度でも改善していきます。
ここで私が言いたいことは、このような事前の検証を一切せずに、審美歯科治療を行う事はNGであるということです。
そのような治療法は「運だめし」と同じことで、治療とは呼べません。
しっかり、仮の歯で事前検証をし、問題が見つかれば随時改善していく。
この過程を踏むことで、初めて理想の詰め物・被せ物が完成します。
この部分は、治療工程で記載するべき部分ですが、「咬み合わせ」は審美歯科治療において非常に重要となりますので、あえて1つの節で説明することにしました。 審美歯科治療を行うことで、「頭痛」「眩暈」「腰痛」「肩こり」が起こることが稀にあります。これは銀歯からセラミック素材に交換することで「咬み合わせ」の変化が起きてしまう場合があるためです。また同じく、「咬み合わせ」の変化が原因で「治療した歯が欠けてしまう」事もあります。
このようになってしまっては、何のための治療だったのかと首をかしげたくなりますね。
歯周病・虫歯治療などの初期治療と同様、「適切なかみ合わせを診断する」という工程を省いてしまう医院、もしくは完全に無視する医院が、事実存在しています。
当院では、「研究用模型」「インディケーターワックス」「重心動揺測定器」「オクルーザー」という工程を経て、患者様1人1人に合ったかみ合わせを診断、そして治療に反映させています。
研究用模型から、歯列の状態、咬合関係などを確認・分析します。
体の重心がどのように揺れているかを自動計測する機械です。この機械の導入により「咬み合わせのずれ」と「体の軸のゆがみ」の因果関係が把握できます。
噛む力というものは目に見えませんが、この機器を利用することで咬合力、咬合力表示面積、バランスなどが客観的に把握することが可能になります。
強くかみ合っている部分を削り、「面」接触から「点」接触にすることで咬合力を減少させます。また横に顎をずらした時のひっかかりや咀嚼時の早期接触部分を削り調整します。
当院での審美歯科治療では、審美補綴を専門にしている「歯科技工士」、部分矯正などを担当している「矯正認定医」と連携した治療を実施しております。
それぞれご紹介いたします。
庄司 寿 − 有限会社I.N.T Japan |
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■発表等 |
QDT2004年7月号 マスターピース掲載 |
第13回日本顎咬合学会東北支部学術大会登壇 |
第15回日本顎咬合学会東北支部学術大会登壇 |
ZERO2012年10月号座談会形式対談 臨床例掲載 |
審美歯科治療で利用する詰め物・かぶせ物は、歯科技工所で制作されます。
歯科医院ですべてを制作するわけではありません。
つまり、ドクターの技術力がいくら高くとも、実際のかぶせ物を作成する歯科技工所のレベルが高くなければ決して良い治療はできないということになります。
クオリティが高く、信頼のおける歯科技工所と連携できるか否かが非常に大切です。
当院では有限会社I.N.T Japanという歯科技工所と連携しています。
出張サービスも行っており、医院にて患者様のお口の状態やご希望をお伺いし、ドクターと共に治療計画を立案していきます。
代表の庄司寿さんにお話を伺ってきましたので、ご興味がある方は対談をご参照ください。
矯正歯科「認定医」 小池 喜子 |
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平成9年 | 奥羽大学歯学部卒業 |
平成9年 | 東京歯科大学矯正矯正歯科学入局 |
平成14年 | 東京歯科大学水道橋病院退局 |
平成14年 | 東京女子医大歯科・口腔外科入局 |
平成16年 | 東京女子医大歯科・口腔外科退局 |
それ以降はフリーランスにて歯科矯正治療に従事する |
小池 喜子さんに治療に対する思いを伺ってきました。
詳細はこちらをご参照ください。
なぜ当院では「チーム医療」を実施しているかといいますと、「本当に最高の治療を患者様に提供するには1人では限界がある」と考えているからです。
歯科先進国の欧米ではすでにこのスタイルの治療を行っています。各治療工程を細分化し、それぞれに専門家が存在し治療にあたるスタイルです。
日本では1人のドクターがほぼすべての治療を行っているのが通常ですが、やはり1人の人間がすべてを行うのには限界があります。歯科医療は日進月歩の世界ですので、最先端の技術・材料・設備に精通することはできません。
最高の治療を常にご提供するため、当院では各分野の専門家が密接に連携して治療にあたるチーム医療を推進しています。